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「まとまった時間」はいらない

 

 育児がひと段落ついてから、今は仕事が忙しいから、介護があるから……。

時間ができるのを待っていたら、

いつまでたっても本を書くタイミングは訪れません。

 

生き生きとしたスピリットは、時間の経過とともに、

刻一刻としぼんでしまいます。

「書きたい」と思った今が、絶好のチャンス。

今すぐ、書き始めてください。

 

130分」でかまいません。

30分なら、早朝や夜、赤ちゃんが昼寝をしている間、

1日のうちのどこかに、ねん出できるのではないでしょうか。

 

11テーマずつ、コツコツ書いていけば、

ちいさな本なら1か月もあれば完成します。

 

何から書き始めていいか分からない場合は、

思いついたテーマから順不同で書き、

あとから並べ替えましょう。

 

私は、終電帰りが続いた会社員のとき、

赤ちゃんの世話に七転八倒していたとき、

130分ずつ、好きな文章を書きためていました。

 

昼間に思いついた内容をメモしておいて、

次の朝、パソコンでいっきにまとめるのです。

メモをもとにすれば、内容をイチから考える必要はありません。

 

会社に行く前、子どもが起きてくる前の、

ほんの30分でもまとまった分量の原稿が書けました。

 

イデアメモは、思いついたときに

ぱっと書き留めるだけなので、ものの23分。

今でも、育児や家事をしながら、

しょっちゅうメモをとっています。

 

【message】

書きたいと思った「今」、スタートする

 

(4)「オリジナル」はいらない

 

 パソコン操作に詳しい友人に、

「ちいさな本を書いてみたら?」とすすめたときのこと。

 

「その内容なら、ホームページに

詳しいマニュアルが出ていたから……」と、首を横に振りました。

今は、インターネットであらゆる情報が手に入ります。

出ていない情報を見つけるほうが難しいくらいです。

 

私はしばらく考えてから、こう答えました。

「すでにマニュアルがある内容でも、かまわないよ。

自分の経験から気がついたポイントを、

“パソコンアレルギー”の私のために、手取り足取り教えると思って

書いてもらえる?」。

 

できあがった作品は、本人の謙遜とは裏腹に、

オリジナリティあふれる内容でした。

 

得意分野、興味、知識、経験など、すべての要素が同じという人はいません。

同じテーマで書いても、その人が持っている要素が組み合わさって、

世界にひとつだけの本が完成します。

 

「オリジナルじゃない」という思い込みで、

本づくりをあきらめるのはもったいないことです。

 

さらに、同じ内容でも、“あなた”が書くことに意義があります。

 

読書好きで知られるプロボクサーが、

テレビの対談番組でこんなことを言っていました。

「本に書いてあることは、古今東西同じような内容だけど、

だれがその言葉を言ったかが重要。

自分にとって尊敬する人が言う言葉だから価値がある」。

 

この言葉には、深く共感しました。

我が家には、夫の曽祖父が残した小冊子があります。

 

和紙の表紙で手作りしたちいさな本には、

戦争で2人の子供を失った経験がつづられています。

涙で文字が読めないほど、号泣しながら読みました。

 

戦争体験の本は数えきれないほどありますが、

身近な人の話だからこそ、

これほど反戦のメッセージが強く心に響いたのです。

 

【message】 

あなたの経験は、世界にたったひとつ

 

 

(3)「完璧な校正」はいらない

 

文章を書いたあと、読み返して文脈を整えたり、

誤字や脱字のチェックを行います。

 

でも、いくら注意深く読み返したつもりでも、

本全体を通して、ひとつ残らずミスを探し出すことは難しいでしょう。

「あ、こんなところに、まだ間違いがあった」と、

後からポロポロ修正箇所が出てきて、キリがありません。

 

出版社の場合、専門の校正者が、

印刷する前に誤字や脱字の修整だけではなく、

漢字やひらがな、数字の表記を統一するなど、

さまざまな観点から文章を厳しくチェックしています。

 

ちいさな本は、文章を確認するのは、自分や身近な人だけです。

 

一言一句、ミスをなくすことにこだわるより、「スピード」が優先。

何回か読み返したら、いったん区切りをつけましょう。

 

出版社の本は、一度印刷したら修正がききませんが、

ちいさな本は数冊の小ロットでスタートできるのがメリットです。

読んでくれる人が“校正者”。

間違っている箇所を教えてもらい、

増刷するときに、データを修整すればいいのです。

 

【message】 

一言一句の正確さより、「スピード」を優先する

 

 

(2)「同類本の調査」はいらない

 

 出版社の編集者は、雑誌の企画や本をつくる場合、

同じテーマをあつかった資料を集めて目を通します。

 

他社と似たものを出しても、意味がないからです。

過去の出版物を分析したうえで、独自の特色を打ち出します。

 

 でも、ちいさな本をつくる際は、

あえて「同類本は見ない」ことをおすすめします。

私たちは、プロの編集者ではありません。

大量の情報に振り回されて、自分が本当に伝えたいことや、

自分ならではの良さを見失いがちです。

 

さらに、「こんな立派な本はつくれない」

「知識が足りないのではないか」と、

スタート地点に立つ前から自信を喪失して、

モチベーションがダウンしてしまうこともあります。

 

知人のアパレル経営者は、競合他社の情報について、

一切知らないそうです。

「他社の調査は必要ない」と言い切ります。

 

それでも、常に業界トップの地位をキープ。

お客さんが殺到しすぎて、注文を制限するために、

紹介制へ切り替えたそうです。

 

彼女いわく、「ひたすらお客さんの意見を聞き、

マイナーチェンジを繰り返してきただけ」。

 

ちいさな本にも同じことが言えます。

「読者が、どんな情報を求めているか」。

その1点に、100%のエネルギーを注ぎ込むことが重要です。

 

 

【message】

「読者が求める情報」を追求する

 

Part1「頭の断捨離」で完璧主義を手放そう (1)「美しい文章」はいらない

 

「ロケットを発射する際、全燃料のうち9割を使う」と聞いたことがあります。

ちいさな本をつくるときも、最初の一歩には、莫大なエネルギーが必要です。

 

「あれも大事、これも大事」とこだわっていては、いつまでたっても前に進めません。

 

細かいことは置いて、スピード重視で一気に乗り切る。

完璧主義や不要な思い込みを手放す「頭の断捨離」が重要です。

 

まず、上手に書こうとする必要はまったくありません。

 

「文章が苦手で、全然浮かんでこないんです」という方に、

口頭で説明していただくと、スラスラ言葉が出てきます。

その“話し言葉”のままでかまいません。

 

作家のような美しい文章でなくても、文脈が整っていなくても、

著者の思いがこもった一言は、読み手の心に届きます。

 

逆に、いくらテクニックを駆使した文章でも、

キラッと輝く言葉がなければ、まるでメインディッシュがない料理のよう。

 

「この本で何を伝えたいのか」。

核となる一文が入っていれば、それで大成功。

自分に、大きなハナマルの合格点を出してください。

そう考えると、ちょっぴり気分がラクになりませんか?

 

どうしても文章が出てこない場合は、

書くことが得意な人にお願いするのもひとつの手。

自分では気が付かない魅力を引き出してくれるかもしれません。

とにかく確実にアウトプットすることが重要です。

 

【message】

思いのこもった一言があれば、大成功

 

世界にたったひとつの〈ちいさな本〉をつくりませんか?

 

ブログ本やレシピ集、自分史、フォトブック、ノウハウ本、研究報告etc……、

「自分の本」をつくりたい人が増えています。

 

でも、いざアイデアを形にしようとすると、

何から手をつければいいか分からないというかたが多いのでは?

 

私は、2016年にオリジナルbookの制作をサポートする

『オーダーメイドの本屋さん Brown Bear』をオープンしました。

一人目のお客さんは、着物生地を利用した

クラフト教室を開いている60代のTさん。

 

伝統の古布で作った雛人形やオブジェは、

上品な華やかさとぬくもりがあふれる素敵な作品ばかりです。

このクラフトを紹介する本をつくりたいと、

10年以上前から願っていました。

でも、最初の一歩がなかなか踏み出せないまま、

長い年月が過ぎてしまったそうです。

 

お話を伺うと、本づくりに対する思いはとても強い様子。

では、なぜ実現しないのでしょうか? 

始めは、パソコンの操作にとまどっていらっしゃるのかと思っていましたが、

制作を進めるうちに、もっと大きな原因が見えてきました。

 

それは、「あの作品も、この作品も」と、本に盛り込みたい情報が多すぎること。

もうひとつは、「頭に浮かんだことをうまく表現できない」と

考えていらっしゃること。

 

最初から、書店に並んでいるような立派な本をイメージすると、

ハードルが高くなります。

完璧な内容を目指すほど、一歩を踏み出すのがおっくうになってしまうのです。

 

そこで、私はひとつの提案をしました。

「〈ちいさな本〉をつくりませんか?」。

相談した結果、1冊目は、Tさんが一番好きな作品だけに絞って

編集することにしました。

 

それから数週間後――。

世界にたったひとつの〈ちいさな本〉が誕生しました。

10年かかってできなかった本が、あっという間に完成したのです。

Tさんは、「長年の夢がかないました!」と、

飛び上がらん勢いで喜んでくださいました。

 

その後、オーダーメイドの本を制作していくなかで、確信しました。

本づくりに重要なことは、文章の書き方を勉強したり、新しい情報を集めるといった「加える」ではなく、「捨てる」こと。

 

テーマを絞る「〈情報〉の断捨離」と、

完璧主義を捨てる「〈頭〉の断捨離」が必要なのです。

 

バンバン捨てまくって、100%のうち1%だけ残したのが、

ここで紹介する「ちいさな本」です。

 

明日から、2種類の断捨離について、具体的な方法を解説します。

文章が苦手でもOK。

だれでも簡単に本をつくることができる、とっておきの方法をお教えします。