(4)「オリジナル」はいらない

 

 パソコン操作に詳しい友人に、

「ちいさな本を書いてみたら?」とすすめたときのこと。

 

「その内容なら、ホームページに

詳しいマニュアルが出ていたから……」と、首を横に振りました。

今は、インターネットであらゆる情報が手に入ります。

出ていない情報を見つけるほうが難しいくらいです。

 

私はしばらく考えてから、こう答えました。

「すでにマニュアルがある内容でも、かまわないよ。

自分の経験から気がついたポイントを、

“パソコンアレルギー”の私のために、手取り足取り教えると思って

書いてもらえる?」。

 

できあがった作品は、本人の謙遜とは裏腹に、

オリジナリティあふれる内容でした。

 

得意分野、興味、知識、経験など、すべての要素が同じという人はいません。

同じテーマで書いても、その人が持っている要素が組み合わさって、

世界にひとつだけの本が完成します。

 

「オリジナルじゃない」という思い込みで、

本づくりをあきらめるのはもったいないことです。

 

さらに、同じ内容でも、“あなた”が書くことに意義があります。

 

読書好きで知られるプロボクサーが、

テレビの対談番組でこんなことを言っていました。

「本に書いてあることは、古今東西同じような内容だけど、

だれがその言葉を言ったかが重要。

自分にとって尊敬する人が言う言葉だから価値がある」。

 

この言葉には、深く共感しました。

我が家には、夫の曽祖父が残した小冊子があります。

 

和紙の表紙で手作りしたちいさな本には、

戦争で2人の子供を失った経験がつづられています。

涙で文字が読めないほど、号泣しながら読みました。

 

戦争体験の本は数えきれないほどありますが、

身近な人の話だからこそ、

これほど反戦のメッセージが強く心に響いたのです。

 

【message】 

あなたの経験は、世界にたったひとつ